blog.inutano.com

2023年に買ってよかったもの

年の瀬ですので今年もやっていきましょう。アフィリエイトリンクからの収益は今年も全て近所のビアパブの売上に変換されます。

マームール

サウジアラビア王国に招待された。イスラム国家に行くのは初めてである。入国ビザを申請するのも初めてである。「戒律を破ると死刑になることに同意します」と記された書類にサインをせよと言われた。サインをした。クリスティアーノ・ロナウドもこの書類にサインをしたのだろうか。

しかし畏れ多くもお呼び頂いたのだから何かしら手土産を持っていかねばならぬ。アルコールがご法度ならば選択肢は一つである。日本が世界に誇る伝統的な和菓子。抹茶キットカットである。ついでに抹茶エリーゼとか、抹茶アルフォートとか、とにかく抹茶味の菓子類をキャリーケースの半分にぎっしり詰め込んだ。

アラブの人々は手土産を大層喜んでくれた。「家族にも食べさせたいからもう少しもらってもいいか」と聞かれるので、まだ沢山あるからもちろん構わないと伝えた。翌日またやってきて「子供が大変気に入ったのでもし余っていたらもらえないだろうか」と聞かれるので、また差し上げた。そのような具合であった。

一人の学生さんが「お菓子のお礼です」とお菓子をくれた。これはこれはご丁寧に。クッキーのようである。食べてみた。初めて食べる味である。これはなんですかと尋ねたところ、サウジっ子がみんな大好きなお菓子、その名もマームールであるという。セモリナ粉で作っているのでほろほろとした食感で、中にはデーツの実で作った餡が入っている。美味しい。素朴で食べ飽きない、不思議な、でも懐かしい味。「気に入ったのなら明日もっと持ってきます」という言葉通り、学生さんが箱入りのマームールを翌日持ってきてくれた。ありがたい。お礼に余っていた抹茶キットカットをどっさりあげた。

持ち帰ったマームールは家族がすっかり気に入って全部食べてしまった。そうして「次はいつアラブに行くのか」と訊くのである。

ちょいとアラビア半島まで持っていけば未だ知らぬローカルな美味しいお菓子に化けるのだ。抹茶キットカットを買ってよかった。

スタミナ源たれ

「地元の人間は皆知っているが他所では知られていないソウルフード」というものがある。青森県の人々にとってのそれがこれであるという。青森旅行の土産に頂いた。早速肉を漬け込んで焼いたところ大変に美味であった。地元の素材をふんだんに使っているという。言われてみればなるほど確かに、青森の特産品として有名なりんごもにんにくも、どちらもすりおろして鍋に入れると大抵のものはうまくなる。すりおろしたりんごとにんにくをベースにたれを作る。合理的である。

肉を漬け込んで焼く。焼き肉だけでなく肉野菜炒めにしてもよい。チャーハンの味付けにも使える。鶏肉を漬け込んで唐揚げにしても美味い。日式カレーの仕上げに入れるとコクが増す。何に使っても美味しい。その上クセがないので使うことを躊躇う必要がない。お土産に頂いた小瓶はすぐになくなってしまった。

唐津・七山の棚田米

遠方から友人が会いに来てくれたので食事をすることになった。パートナーがグルテン不耐症であるという。日本の食に馴染みの薄い彼らに代わって、食べられるもの・食べるべきでないものを調べることになった。「セリアック病ではないので全く小麦が無理というわけではない」という。そう言われてもよくわからない。どの程度なら食べられるのかと訊くと「ラーメン一杯はちょっと無理」。食物アレルギーとは無縁の人生なので、どう評価してよいのかわからない。結論として「少々混ざるくらいはOK」ということであり、重度の小麦アレルギーとなると話は別だが、グルテンフリーを実践する人々も和食中心の外食なら割合楽しめるということが分かった。なかなかに興味深い経験であった。

アレルギーもなければグルテンを食べて身体の具合が悪くなるという自覚もないのだが、胃の負担を減らすためにグルテンの摂取量を意識してみるのはいいかもしれない。小麦を控えればおれにもグランドスラムを制覇できるかもしれない。思い立ったので実行してみることにした。「13時を過ぎたらなるべく小麦・グルテンを含む食事を摂らない」「無理はしない、食べたいときは食べる」という方針で、無理のないように続けて数ヶ月。普段は特に身体の変化は感じないのだが、たまにパスタやラーメンを午後に食べると、普段感じることのない凄まじい満腹感、それと同時に眠気が襲ってくることに気がついた。お腹いっぱい食べられる。人類史における貴重な贅沢である。小麦は偉大だ。グルテンなくして人類の繁栄なし。だが本当にそうだろうか。

お米あれ。そうして米の消費量が増えた。

たまに福岡の実家に帰って米を食べると大変に美味しいと感じることがあった。「実家に帰って食うメシが美味い、育ててくれた両親に感謝」という心情の問題ではない。字面の通り、実家で食う米が美味いのである。不思議でもある。米の味を決めるにあたっての変数は3つしかない。水、米、炊飯器である。炊飯器が怪しい。実家で使っているのは年季の入った大手メーカーの炊飯器である。水はどうしようもないので、実家と同じ米を分けてもらって、自宅に戻って炊いて食べてみれば炊飯器の違いを検証できるのではないか。そうしてみたところ、自宅でも普通に米が美味しい。炊飯器ではなかった。米であった。

その米がこちらです。普通に通販でも買えるのだが、棚田は手入れが大変だし、周辺環境の整備には行政のサポートが必要なので、ふるさと納税に最適なケースだと思っている。

ラッセルホブスのケトルとTimemoreのコーヒーミル

イテレーションを最適化することこそが人生の豊かさに繋がるのである。

  1. 起きてキッチンへ行く。
  2. 湯を沸かす。
  3. 沸かしている間にコーヒー豆を挽く。
  4. 湧いた湯が適温になるまで温度計で測りながら待つ。
  5. コーヒーを淹れる。

人生とはこの繰り返しである。シンプルに見える。だが問題がある。待機時間が長いのである。湯が沸くのを待つ。適温になるのを待つ。待ち時間の間にちょうど豆が挽けるように時間を調整する。挽いている間に湯の温度が下がりすぎたのでもう一度湯を沸かす。また湯が冷めるのを待つ。無駄である。無駄なので「狙った温度で止めて保温できるケトル」と「サッと豆が挽けるミル」を導入した。アップデートされた手順は以下である。

  1. 起きてキッチンへ行く。
  2. 温度を設定して湯を沸かす。
  3. 沸いた湯が適温で保温されている間にサッと豆を挽く。
  4. コーヒーを淹れる。

待機時間が発生するのはステップ2である。設定温度に達するとそのまま保温してくれるので、タイミングを測る必要がない。都合のよいときにプロセスをresumeしてすぐにコーヒーを淹れることができる。素晴らしい。

「そんなに無駄が嫌ならコーヒーメーカーを買えばよいではないか」と思われるかもしれない。そうではない。そうではないのだ。そうすると次は「コーヒーを買ってくればいいのでは」となり、その次は「コーヒーを飲まなければいい」になってしまう。最適化に走りすぎると、人生の豊かさを見失ってしまうのだ。

絶品ごはん (冷凍保存容器)

友人がこれを紹介してくれたので「こんな便利なものがあるらしい、これは素晴らしいものだ、もうラップでいちいち包んだりする必要はないのだ」と騒いでいたら、家族が蔑んだような目をしてこちらを見るので理由を聞いたところ「冷凍容器?そんな無駄なものは必要ない、ラップで包めばいい」と以前に同じ口で吐き捨てていたそうである。全く記憶にない。何を買うかではなく、どう買うかが重要であるということがよくわかるエピソードである。買ってよかったものブログもそうですよね。

簡易内窓DIYキット

部屋が寒い理由はわかりきっておりそれはアルミサッシのせいである。アルミサッシのせいで気候変動が起きるし疫病は流行るし戦争が起こるし貧富の差は拡大するしTwitterがサービス終了するしChatGPTが存在しない関数の説明をダラダラと吐くし疎遠になった親戚がいつの間にか陰謀論ユーチューバーにドハマリするのである。アルミサッシを滅ぼさねばならない。アルミサッシを滅ぼさねばならないが、面倒である。内窓を自作するキットを買ってきて設置した。部屋が大変快適である。

「組み立ては簡単です!」というアピールには同意しかねる。だが異常に難しいというわけでもない。「IKEAの家具の組み立てよりは難しい」くらいが適当な表現である。IKEAの家具の組み立てより難しいが、だがそれがどうしたというのか。IKEAの家具の組み立てより難しいことなんて人生にいくらでもあるのだ。

Apple のバッテリ交換プログラム

初代 iPhone の背面にはアルミ素材が使われていた。「使ううちに傷がついてきてだんだんと味わい深い見た目になるんだよ」と見せてもらったことを今でも覚えている。革製品のように時間の変化を楽しむガジェット。すぐに技術が進歩して置き換えられることが分かっているものをそんなふうに捉えるのは、なかなかいいなと思った。

初代 iPhone はもう使うことができないけれども、少し前の世代なら気に入った筐体のデバイスを使い続けることができる。

iBasso Audio の DAC と Shure のヘッドフォン

君子オーディオ沼に近寄らず。

きっかけは Spotify にムカついたことである。10年以上前、日本に正式に上陸するより以前から Spotify のお世話になっていた。ある時から、アプリのトップ画面、ダッシュボードの大部分が興味のないポッドキャストで埋められるようになってしまった。サービスとしてポッドキャストを推したかったのかもしれないが、日々の体験が最悪である。「金を払っているのに興味のないものでダッシュボードを埋められるのは我慢ならない」と Spotify のユーザフォーラムに投稿があった。その次の投稿に「私はApple Musicに移ったよ」とあった。そこで試しに Apple Music を使ってみたところ Spotify の最高音質と比べても音質が段違いに良いことに気がついてしまった。さらに Apple Music には Hi-Res Lossless というオプションがあり、そのクオリティで聴くためには Digital-to-Analog Converter (DAC) が必要で、近年はコンパクトで高性能なアンプ内蔵のスティック型 DACというものが存在し、そこに有線ヘッドフォンを挿すのであれば、どうせ家で聴くのだから開放型のいいヘッドフォンを……

沼のほとりに立っているという感覚がある。この先に進むつもりはない。今のところは。

AIとSF

ChatGPT の話題で盛り上がっている最中に刊行されたこちら、今読むのが一番旬で面白いとの評を目にして読んでみた。SF作家陣に現在進行系で進歩している人工知能をお題に書けというなかなかにチャレンジングな企画である。生成モデルの盛り上がりもやや落ち着いて、現実的な行く末と非現実的な妄想との線引きが徐々にできているような感覚がある今は、本書の賞味期限ギリギリであるとも言えるし、社会の狂乱を振り返るログとしての価値が出てくる頃合いでもある。しかし、やはり仏像なのだ。

2022年に買ってよかったもの

ブログを新設して過去記事を移植していたら年が明けてしまいました。2022年に買ってよかったものですが、2023年に買ってもきっといいものです。Amazonのアフィリエイトリンクからの収益は例によって近所のビアパブの売上に変換されます。

除湿機(コロナ)

日本の暑い夏を快適に過ごすためにケアすべきは気温ではなく湿度なのだということにようやく気付けたのが2022年であり、そのきっかけが除湿器である。20年ほど前に使っていた除湿器はただタンクに水が溜まり黴が生える邪魔な機械という印象しかなく、以降は除湿器を勧める声を目にしては訝しみ購入に二の足を踏んでいたが「非常に快適である」という身内のコメントに技術の進歩を信じて購入した。その名前から昨今大変なイメージダウンを被っているであろうコロナ社の除湿器である。これを寝室に置いて稼働させてみたところ「問題は気温ではなく湿度なのだ」ということに気付くまでに数時間もかからなかった。

これまではといえば部屋が暑くて不快なので冷房をつけるものの、設定温度を高めにするとジメジメとして不快だし、かといって低くするとそれはそれで寒いというジレンマに陥っていた。冷房だけでなく密閉性の低い住居の問題でもあると思う。ところがそれなりにパワフルな除湿器を導入したところ、みるみる湿度は下がってゆき、室温は下がるどころか上がっているのだが、空気は乾いて快適で、その快適さに従ってドン引きするほど除湿器のタンクに排水が溜まる。これまではこの量の水を空気に含ませたまま暮らしていたんですか?と誰かを問い詰めたい衝動に駆られること二度や三度ではない。

寝室での体験が非常によかったのでリビング用にも購入した。夏が終わっても洗濯物の部屋干しに活躍してくれている。さすがに真冬は出番がないが、高温多湿な気候の地域に住む全ての人にお勧めしたい。買ってよかった。

Amazon

炊飯器(タイガー)

炊飯器に求めるものとはなんだろうか。米が美味しく炊けること。色々と気の利く炊飯オプションがあること。キッチンで悪目立ちしないデザインであること。エトセトラエトセトラ。違う。

違うのだ。

そもそも炊飯器は必要なのか。大抵の住居には熱源がある。熱源の上に鍋を置いて米と水を入れて熱を加えれば米は炊けるのだ。炊飯器は無用である。鍋で炊けば米は美味しい。鍋はあらゆる炊飯に対応する。鍋は美しい。炊飯器は無用である。

無用ではあるが炊飯器は本邦どのご家庭にもある。何故か。ラクだからである。スイッチポンで米が炊けるのだ。水加減も目盛りを見ればいいのでラク。火加減も気にしなくていいのでラク。炊けたあともそのまま置いておけるのでラク。米を炊いている間に別の調理が並行できるのでラク。必要だからではない。ラクだから炊飯器を使うのだ。

我々は人類であり、人類は怠惰であり、怠惰な人類はもっとラクをしたい。炊飯器で米を炊くプロセスをもっとラクにしたい。炊飯器で米を炊く上で1番面倒なのは何か。無洗米を使えば米を洗うことすら不要である現代においてこれ以上炊飯器に我々が求めることはあるのか。ある。それは高速炊飯である。ポチッと押した瞬間に米が炊けて欲しい。究極の炊飯器なるものがあるならば「今米が食いたい」と思った瞬間に炊きたての米が食えて然るべきである。残念ながらそのような炊飯器はない。技術の進歩のために人類はもっと怠惰にならなくてはならない。

だがこの炊飯器の「少量高速モード」は2合までの米が15分で炊ける。15分!

朝起きて米と水を入れてスイッチを押せば顔を洗って身支度をしてメールのチェックをし終わるよりも先に米が炊ける。昼前のリモート会議の前にセットしておけばどれだけ早く会議が進行しても先に米が炊ける。夕方家族が家に帰ってくる知らせを受けてからセットしても余裕で先に米が炊ける。何をしようとも先に米が炊けるのだ。先に米が炊ける。この感動は代え難い。

忙しく怠惰な人類にお勧めしたい。文句なしに今年買ってよかったものナンバーワン。

Amazon

Siri Remote シリコンケース

Apple TV のリモコンである Siri Remote はよくどこかに旅に出る。薄くて小さなデザインは悪くないが、ソファの隙間に挟み込んで見失ってくれと言わんばかりのデザインである。Hey Siri find my Siri remote! と叫んでみてもそんなものは知らないと iPhone の Siri が素っ気ない返事をする。Siri 繋がりだろう。なんとかならないのか。

なんともならない。だが我々には AirTag なる便利グッズが存在するのだ。Siri Remote に AirTag をつけるというアイディアはあまりにも馬鹿げていると思ったが、他に手立てはない。忙しい現代人にリモコンを探して部屋をウロウロする時間はないのだ。

そうして行き着いたのがこの AirTag を嵌め込める Siri Remote のシリコンケースである。ちょうどリモコンの背面に AirTag が嵌まるようになっている。デザインもそこまで酷くはない。買って装着してみた。グリップも良くなって悪くない。悪くないのだが、AirTag が入るだけの厚みができてリモコン自体が大きくなった。大きくなったのでそもそも見失うことがなくなった。まだ一度も AirTag でリモコンを探したことはない。

Amazon

コインホルダー

頑なにキャッシュレス決済の導入を拒んでいる店は多い。それどころか一度某Payを導入したにも関わらずキャンペーンが終わったのでとあっさり使えなくしてしまう店すらある。忌々しいと思う。忌々しいが美味しいランチを安く出してくれる店が現金主義だったりするものだから、仕方なく月に数回はATMに行って現金を財布に突っ込むことになる。そりゃあ店舗手数料を考えれば現金で支払ってもらった方がいいに決まってはいるだろうが、店だって客だって現金の管理は面倒なのだ。インフレに便乗して値上げするくらい全然構わないからせめてQR決済くらい導入してほしい。

以前は小銭の管理が面倒だったので小銭貯金箱なる空き缶をデスクに置いておいて、お釣りにもらった小銭は全部そこに突っ込んでおいて、定期的に口座に流し込むというルーチンを組んでいたのだが、遂に最寄りの銀行窓口が大量の小銭の預け入れに手数料を取ると言い出した。どうしたものかと思っていたところ、職場の先輩がこのカッコいいコインホルダーで小銭を管理していたので、これはいいなと真似しようとしたが、カッコいいホルダーの値段に怯んでしまい、適当にAmazonで調べて出てきたこれを購入して使っている。大変便利である。

大変便利であり、かつ会計の時にこれを出すと5回に1回くらいの頻度で「なんですかそれ!すごい!」と食い気味にお店の人に話しかけられる。コミュニケーションツールとしても優秀である。買ってよかった。

Amazon

保温タンブラー(Hydro Flask)

7月に仕事で渡米した際のドル円相場は1ドル140円ほどであり、インフレの影響もあってペットボトルの水を買うだけでも血の気が引くような思いをすることになった。それならばとシカゴのアウトドアショップで購入したのがこいつである。仕事場や宿泊先、カフェで水やコーヒーを充填しておいて出歩く先での命綱とした。ビアパブでテイクアウトするときにはタンブラーの代替にもなった。保温性能も申し分なく、デザインも悪くなく、すこぶる優秀である。1週間足らずの出張であったが、その間だけでも元が取れたと思っている。地球に優しくありたかったわけではない。自分の財布のことだけを考えていたのだ。人類とはかくも自分本位である。

帰国してからもこいつは便利だと持ち歩いており気付いたのは、日本特有の「公共の場にゴミ箱がないので空になったコーヒーカップをいつまでも捨てられない問題」がマイボトルによって解決した。いい加減持ち歩きたくないのに関係のないお店のトイレのゴミ箱に捨てるのは流石になあ、とか思い悩む必要はもうないのだ。釈然とはしないが、買ってよかった。

Amazon

真空断熱炭酸ボトル(タイガー)

話題になったアレ。ビアパブからンマイビールを持ち出す目的で購入した。それ以外には使っていないし、使うことも多分ない。よしビール買いに行くぞ!という強い気持ちがなければ持って歩こうとは思わない程度の800mlサイズ。その代わりに持って出た場合にはコイツをバカ高いビールで満タンにしてやるぜという圧倒的な安心感がある。モノとしての良さよりも「ビールを買いに出かける」という楽しいイベントのきっかけとしての価値の方が高い。それほど出番が多いわけではないが出番がくるときっちり仕事をしてくれる。買ってよかった。

Amazon

クックメッラ(Ilsa)

イタリアのコーヒーメーカーと言えば有名なのはマキネッタ。実際のところイタリアで、そしてコーヒーにうるさいナポリでも、家庭ではマキネッタを使うところが多い。コーヒーメーカーを導入するご家庭も最近では多いそうだけれども、友人の家に遊びに行くと皆マキネッタで濃いコーヒーを淹れてくれる。

ところでこちらはマキネッタとは違う、ナポリ式コーヒーメーカーである。「カフェテリア・ナポレターナ」とも呼ばれる。マキネッタが普及するよりも以前にナポリで使われていたと言われているこちら、冬にナポリまで出かけた際に買ってきた。トレド駅近くの Pignasecca という商店街でキッチン用品店をハシゴ、1軒目ではなんと「昨日売れちゃったのよ」という不運に見舞われてしまったが、2軒目で無事にゲット。普段使いされるものではないので、観光客が買い求めているのではないかとは地元の友人の談。

マキネッタが蒸気の圧力でコーヒーを抽出するのに対して、こちらはドリップコーヒーに近い方式。片側が水を入れるポット、中央部がコーヒー豆を入れるフィルタ、反対側が抽出されたコーヒーが落ちるポットになっている。直火にかけて水が沸騰したら、クックメッラをひっくり返すことで、お湯がコーヒー豆に浸透し、コーヒーが抽出されるという仕組み。詳しくはNapolissimi さんのクックメッラ紹介記事を参照してほしい。

いや、これ普通にドリップコーヒーでよくないか?と思わないでもないのだが、この見た目の可愛らしさと「ひっくり返す」というユニークな扱い方が気に入っている。近年の買い物には珍しく、実用性を無視して買ってよかったもの。

自宅のコンロで直火にかけられるよう同じメーカーのプレートも買い求めた。

Amazon

マキネッタ(Gianni)

マキネッタといえばモカ・エキスプレスのビアレッティ社が有名だが、こちらはジャンニ社のもの。クックメッラを探しているときにふと思い立って、外でコーヒーを飲むときに1杯サイズの小さいマキネッタがあれば捗るのではと購入したのがこちら。「色のバリエーションがあるんですね?」「そうよ、でもあなたナポリに来たならこの色を買わなきゃダメよ」と、ナポリの空と海の色でカラーリングされたこちらを差し出された。もちろん異論はない。

マキネッタの何がいいって、やはり形の可愛らしさですよ。それがこのサイズだと余計に可愛い。まだ外で使ってはいないけど、手元にあるだけで愉快な気持ちになります。買ってよかった。

Amazon.it

チェアゼロ(Helinox)

昨今のキャンプブームに乗っかって毎週末のようにあちらこちらにキャンプに出かけてーいない。出かけておりません。何しろ膝の靭帯がゆるふわなので、リハビリが完了するまではハードコアなアウトドアアクティビティはご法度なのであります。

でもねえ、楽しそうにキャンプする人々の様子をSNSで見ていると羨ましくもなりますよ。キャンプをする予定は全くないのに「災害時にあると便利だから」と誰にともなく言い訳をしながらせっせとキャンプ道具を買い揃えています。

で、椅子。すごいですよねこの軽さ。もはやプロダクトとしての良さは言い尽くされているので今更何をという感じではありますが「何の抵抗もなく持ち歩ける椅子」という人類史にペグを打って残したい新体験。外出時、「別に椅子はいらなくない?」という時でも、あえて椅子を持って出かけること、これこそが人類が長い時間をかけて獲得した、人生の豊かさなのだと思うのです。

Amazon

ホットサンドメーカー(キャプテンスタッグ)

友人にBBQに誘われたので、クバーノでも作るかと塊肉を買いマリネ液に漬け込みパン・クバーノを焼き上げて出かけてきた。ちゃんとしたクバーノを作りたければちゃんとした長さのプレートが必要であり、食パンサイズのホットサンドメーカーは既にあるものの、新たにこちらを調達。ところがこれがキューバサンドを作るだけでなく、アウトドア調理器具として大活躍であります。

調理の際にもお手入れの際にも、取り外しができないタイプは価値が半減してしまうので、ホットサンドメーカーを買う際には上下のプレートが取り外しできるものを選びましょう。

Amazon

レンチン可能食品保存用ポリ袋

「山本ゆり袋」と名付けて使っているのは我が家だけではないと信じています。肉に下味をつけたり粉をはたいたり、肉を湯煎調理したり、食材を冷蔵・冷凍保存する際に小分けにしたり、とにかく万能である。プラスチックごみを減らそうという世の流れに逆行するようだが、ラップの出番が減るわ、下水に流れる汚れが減るわで(無駄遣いをしなければ)トータルでは環境により優しいのではないかと思う。衛生管理のことも考えれば最早これなしで料理をしたいとは思わない。キッチン周りの道具を定期的に見直すと発見があるぞというリマインドを与えてくれた意味でも買ってよかった。

Amazon

ピーピースルー

今年買って衝撃だったもの・文句なしの第一位。

キッチンの排水溝のスループットに長いこと不満があり、ドラッグストアでパイプ掃除の薬剤を買っては度々掃除をしていたが、どうもいまいち改善しない。ついには鍋のお湯を捨てただけでもいつまで経ってもシンクにお湯が張ったままという酷さになり、腹を立て、色々と調べて行き着いたのがこれ。このふざけた名前はなんなのだと使う前には半信半疑だったけれども、使ったあとに思うことは、この名前以外にあり得ない。

「一度では取りきれない場合もあるので効果が出るまで繰り返せ」「必ず書いてある通りの時間と容量でやれ」などの高圧的な口コミにやや不安を覚えながらもやってみたところ、数回の処置ののち、得られたのは凄まじい効果。パイプにへばりついていたと思しき積年の汚れが塊として浮いてきたときには幼少期に地上波で観たエイリアンの衝撃が蘇りました。あれだけ詰まっていたシンクが、ゴゴゴと凄い音を立てて大量の水をどんどん排水してくれます。家の底に穴が空いただけなのではと思うほどですが、今のところ階下から苦情は来ておりません。

Amazon

学術出版の来た道

著者の有田さんは博士論文審査の主査を受けてくださった先生であり、今も業務で大変お世話になっているだけでなく、よく気にかけてくださっている恩人であります(利益相反の開示)。

だから紹介するわけではない。なんとなれば元となった連載をされていたことすら知らず、書籍の出版後もしばらく気付いておらず、別の共同研究者の方から勧めて頂いて本の存在を知ったのであった。「そういえば遺伝研に有田先生という方がいますよね、最近出された本が凄く面白くて」「えっ有田さんが?」「えっ本出されましたよね?」「えっ?」というやりとりがあった。さんざ世話になっておりながら!共著論文の相談をする際に論文誌の資本関係にやけに詳しいので不思議だな、などと呑気に思っていた。業務の場で著書を宣伝するようなタイプの方ではないのである。見習いたい態度であると思っている。

で、この本である。滅茶苦茶面白い。人類の科学の発展とアカデミアの形成とは切っても切り離せない「論文誌」のこれまでの歴史が、その現状の問題点に至った道筋として語られる。「歴史書」と「科学エッセイ」という相反するテーマが丁度いい塩梅で、主張が過度に強調されることもなければ、読んでいて退屈することもない絶妙な文章であり、研究を生業としない人にもお勧めできる一冊。難点というほどではないが、主に自然科学分野に関する歴史なので、人文系の学術出版に関してはそれほど語られないため、その点だけ誤解せずに読んでもらえればいいのかなと思う。

Amazon

三体

このシリーズについて何かコメントせよと言われても困ってしまう。三体を読んだ人とそうでない人がいるというだけなのだ。これまでにそれほど沢山のSFを読んだきたわけではない。それがよかったのかもしれない。「物語が終わってしまうのが勿体無いから読み進めたくない」と感じる読書体験はなかなかないものだ。読み進めてはハァァアアアアと特大のため息をついては天を仰ぐようなことを何度もやっている。外伝の三体Xを手に入れたので、満を持して第三巻・死神永世の下を読み終わろうとしているところだ。

日常の些細なキーワードに反応しては「それ三体で見た」と発言して未読の家族に嫌そうな顔をされている。

Amazon

ゆるキャン△

全巻揃えたのが今年だったので今年買ってよかったものリスト入りです。説明不要の大人気シリーズ、「女子高生におっさんの趣味をやらせたみたシリーズ」の先鋒であると説明されるものの、その枠に収まらない人気を博している。

”What if…?” から広がる宇宙。ゆるキャン△はSFなのである。それも優れたSFであると、SFをあまり読まないと公言しておきながら、言わせて頂きたいのである。「1つだけ嘘をついて、残りはとことんリアルに描く」作品が良いSFであるとされるのであれば、「女子高生が冬にソロキャンする」という嘘に、実在するギア、実在するキャンプ場、実在する風景を美しく描くゆるキャン△が優れたSFでなくて一体なんだというのだ。

思うにゆるキャン△と三体は同じなのだ。どちらも3という数字がキーになっているではないか。リンちゃんも暗黒の森林で1人静かにキャンプをするではないか。暗い冬に狭いテントに潜りシュラフに包まって眠って«コールドスリープ»夜明けを待つではないか。

劇場版もSFみが強くてすごくよかったです。公開初日の初回に行きました。

1巻 Amazon
最新刊 Amazon

リコリス・リコイル

久々にリアルタイムで追いかけたアニメ作品。随所に見える細かい違和感を、キャラクターの魅力とガンアクションの破壊力で「んなこたどうでもいいんだよ!」的にぶち抜いた豪快なアニメ。クリスティアーノ・ロナウドが点を決める代わりに守備が免除されるように。そういう認識でいます。スピンオフ小説が出ていたのでン十年ぶりに電撃文庫作品を買いましたがまだ読んでません。

おっさんになってしまったので、可愛らしい女の子のキャラクターが出てくると娘を見るような目で心配しながらがんばれと応援してしまう。自身の老いを自覚させられた作品でもありました。

Amazon

The Barcelona Complex: Lionel Messi and the Making

今年もいろいろのサッカー関連の書籍を読みましたが、1番はこれ。

今でこそハードコア・ナポリサポーターであると自認しておりますが、ナポリを追い始めるよりずっと前にはバルサを応援していた頃がありました。というのも、金にモノを言わせて選手を買い漁るマドリーの会長がイヤで、そのライバルとされながらもいまいちパッとしないバルサに同情したのが1つ。アルゼンチンリーグでプレーしていた頃から好きだったコネホことハビエル・サビオラが移籍していたのが2つ。2003-2004シーズンごろだったでしょうか。あの情けなかったバルサが、ライカールトの就任を機にCLを制覇し、レオ・メッシという才能を見出し、育て、ぶかぶかの長袖を着たひょろっとした青年がバルサの王として君臨するまでを、ずっと眺めていたのでした。ちなみに当時1番好きな選手はジュリでした。ペップが三冠を獲った後には、あまりに強すぎるので応援のしがいがなくなってしまって、同時期にナポリで洗脳を受けたこともあり、バルサを追いかけることを止めていました。なので、その後のMSNトリオの全盛期も、そして近年の凋落もその詳細を知らないまま、一体何が起きているのかと傍目に心配していたのです。

この本には全てが記してあります。ミケルスとクライフがアヤックスでトータル・フットボールを生んでから、レオ・メッシという神の子を擁したバルセロナが世界の頂点に立ち、そして崩壊するまでの全てが。この本に書いてあることが全て真実だとは思わないけれど、いくらかを誇張であると差し引いても面白い。タイトルの「バルセロナ・コンプレックス」が何を意味するのかは、きっと読む人によって違うのでしょう。やたらと長いので細部まで記憶しながら読むと時間はかかりますが、これまでに少しでもFCバルセロナというクラブに興味を持ったことがある人なら楽しめるはずです。

その他に読んだサッカー本では、著者のガルシア千鶴さんのマラドーナ愛がページから溢れて床を水浸しにする「ディエゴを探して」、40歳になったズラタン・イブラヒモビッチが自身のキャリアと家庭に折り合いを付けるべく実施したセラピーの副産物「アドレナリン」もおすすめです。

Amazon

今年買ってよかったもの2021

まあとんでもねえ一年でしたね。来年もこんな感じなんでしょうかね。

2020年の買ってよかったものブログでこんなことを書いていました。案の定でしたね。来年も特に何かに期待することなく淡々と Do the fucking good things の気持ちでやっていきたいと思います。

目次

    • ナイキ ファントム GT アカデミー MG マルチグラウンド サッカースパイク (Nike)
    • パジャマ (Calida)
    • AirTag (Apple)
    • BCAAパウダー (MyProtein)
    • 耐熱ドリッパー (Karita)
    • 四川料理のスゴい人 自宅でつくる本格中華レシピ (三才ブックス)
    • だいたい1ステップか2ステップ! なのに本格インドカレー (柴田書店)
    • 自作煮干しラーメン
    • コーヒー豆 (Lucent Coffee)
    • 洗濯乾燥機 (Sharp)
    • Apple TV 4K (Apple)
    • 羽毛布団 (無印良品)
    • Ulysses | Writing App (Ulysses)

画像をクリックすると商品のページに飛びます。Amazonアフィリエイトリンクの収入は全て僕のお気に入りのビアパブの売上になります。

出かけていなかったので服を買う頻度が減り、いざ出かけようという時に着るものがなく、同じような服ばかり着ていてテンションが上がらない。服探しの旅に出たい。

ナイキ ファントム GT アカデミー MG マルチグラウンド サッカースパイク (Nike)

在宅勤務となり久しく参加していなかった三島の研究所のサッカー部。岡崎の研究所と対抗戦をやるというので遠征に参加させてもらうことに。あれ、スパイクあったっけ。

どれどれと靴箱を開けてみると、学生時代から履いていたスパイクは隅に放置され加水分解してボロボロになっていた。割と気に入っていたのに。ロナウジーニョモデルというあたりにまた時の流れを感じる。

この先履く頻度を考えるとお高い新品を買うのはどうかと思う。だがそれはそれとして、学生時代には買えなかったイカす最新のスパイクを、今なら好きに買えるというのもまた事実である。ジョルジーニョが履いているTiempoの新しいやつでプレーしてみたい。型落ち品がお買い得であるというオンラインショップのアウトレットコーナーで物色した結果、お値段とサイズの在庫の兼ね合いでPhantomになりました。でもモデル名に「アカデミー」ってあるんで、これユースの子のための廉価モデルなんですよね。多分。なんにせよおニューのスパイクはテンションが上がる。久々のフルコートは楽しかったです。

買ってよかった。

パジャマ (Calida)

「良いパジャマを着て寝ると捗る。学生時代の部活のジャージなど着て寝るべきではない」というtipsを昔どこかで見かけた。どこかで見かけてから随分経った。良いパジャマを買った。今ではもう部活のジャージを着て寝ていない。良いパジャマを着て寝る生活である。良いパジャマを着て寝ると捗るかと言われると、それは確かに捗るのだが、それよりも部活のジャージを着て寝ていないという事実の方が、よほど捗る原因である気がしているのだ。

Calidaのカットソーが大変よろしいのでパジャマも大層よろしかろうと思い買ってみたところ、生地感もいいし、形も綺麗だし、洗濯乾燥機に突っ込んで毎日ガンガン洗えるし最高によろしい。一緒に買った下着も非常によろしい。

買ってよかった。

AirTag (Apple)

鍵をどこかにやったとか、財布を電車に落としたとか、ケータイを飲み屋に置いてきたとか、そういう忘れ物はあまりしない方です。しかしAppleが久しぶりに無駄ガジェットを出してきたとなれば、買わないわけにはいきません。今のところ一番役に立ったのはだだっ広いモールの駐車場で車を探すときです。

買ってよかったと言えなくもない。

家中心の食生活はどんどん効率化される。しかし効率化してルーチンになると新鮮味がなくなるのがネガティブである。衛生面に気をつけつつ徐々に外食を再開することで、飽きずにやっていけている感がある。徒歩圏内に飲食店が山程ある都心に住んでいて本当によかった。

BCAAパウダー (MyProtein)

BCAAとは Branched Chain Amino Acids の略であり分岐鎖アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、バリンの3種の必須アミノ酸の総称です。通常の食生活を送っていればBCAAが不足するということはありません。しかし過去の研究で、運動前にBCAAを摂取し血中のBCAA濃度を高めることで、運動中の筋タンパク質の分解を抑制し、遅発性筋肉痛(翌日以降に来るやつ)を和らげる効果があるという実験結果が示されています (下村2012)。

こういう筋トレ科学みたいなものって、日本語でもググるとたくさん出てくるんですよね。しかも医学系のジャーナルに出ている論文をちゃんと引用したりしていて、サンプルの偏りや実験デザインの不備にまで言及している記事もあります。筋トレへの執念ってすごいですね。科学コミュニケーションかくあるべしというか。結局のところ「理解したい」というモチベーションが全てなのかもしれません。

で、このBCAAパウダーなんですが、ゴールデンの名の通り、なんかドロドロした金箔のようなものが入っており、科学的なエビデンスとかそういう論理をすっ飛ばして「なんかヤベードリンクを飲んでいる」というエモーションに訴えかけてくるやつです。仮にもPh.D.を持っている人間がこんなことをしていていいんでしょうか。罪悪感がすごい。でもいいんです。ゴールデンなので。

今は欠品中だそうです。買ってよかった。

耐熱ドリッパー (Karita)

別になんてことはない普通のドリッパーなのだが、これがなんとCHEMEXのコーヒーメーカーにぴったりなのです。

CHEMEXといえばオシャレ雑貨屋さんに必ず置いてあるこれなんですが、純正のフィルターがやたら高いし、別メーカーの円錐形フィルターを使っていると破れたり落っこちたりと使い勝手が悪い。なんとも具合の悪いやつなんです。でもこのガラスのドリッパーを使えばそんな悩みから解放されるのです。写真の下の黒い部分が外れるので、ガラス部分だけにしてCHEMEXにフィットさせると、円錐形の紙フィルターがピッタリとはまってくれます。

いや、じゃあもうCHEMEX使う意味なくない?普通にこれで淹れればよくない?ってなるんですが、いや実際そうなんですが、でも人生ってそういうものでしょう。いいですか。「いやそもそも」ばかり言うやつは嫌われますからね。わかっているんですよ。わかってはいますけど、非論理的ですけど、それでもこうしたい。そういうしょうもない拘りを大事にしていきたい。CHEMEXにこのドリッパーをセットして毎朝コーヒーを淹れる度に、そういう思いを新たにしています。

買ってよかった。

四川料理のスゴい人 自宅でつくる本格中華レシピ (三才ブックス)

「四川料理のスゴい人」としてメシ通の記事で人気の人長さん。しかし hotpepper の媒体で四川料理がバズるのは正しさがあっていいですね。

以前から麻婆豆腐の極意を極めようと努力しているのですが、麻婆豆腐から派生して色々の四川料理レシピが紹介されており、料理欲を掻き立てられる素晴らしい本です。ぶっちゃけ紙面のデザインはあまりよくなくて、読みやすくはないんですが、それでもレシピに込められた工夫と、「家庭で本気の四川料理をやっていく」という信念をリスペクトしています。いくつか作ってみましたが、担々麺と口水鶏がお気に入りです。四川に行ったことがないのに家で四川料理作ってばかりなのもなんなので、チャンスがあれば現地に行ってオーセンティック四川メシを食べてみたい。

買ってよかった。

だいたい1ステップか2ステップ! なのに本格インドカレー (柴田書店)

泣く子も黙るイナダシュンスケ先生のインドカレー本第二弾。四川料理の本に続き、この本も紙面のデザインがイマイチで読みにくい。いくら企画がよくても紙面のレイアウトデザインをちゃんとしない出版社はダメだと思います。インドカレー本だとマニアにしかウケないので、時短メシ的なコンセプトを前面に出すことで、これまでに届いていない層に届いてほしい、全国民にインドカレーを作ってほしい、という企画の意図はなんとなく伝わってくるのです。しかし手書き風フォントの視認性が悪かったり、実質Nステップ(N>2)なのに2ステップであるかのようにレシピが記載されていたりと、手順を間違えやすいデザインはレシピ本としては致命的だと思います。その点では前作の方が断然よかった。

ただそれらは本当にプレゼンテーションの話であり、コンテンツとしては材料の準備も手順も、前作からさらに効率化されており、その執念を改めて尊敬するところです。ジップロックコンテナのレンチンバスマティライスは我が家の食卓で大活躍しています。ただただ読みにくいのが惜しい。

買ってよかった。

自作煮干しラーメン

写真はありません。写真撮る前に食ってしまうので。

今年は 発酵料理家 真野遥さんの一番簡単な煮干しラーメン を参考に煮干しラーメンばかり作っていた。もちろん麺はパスタマシンで自家製です。ラーメン凪の煮干しラーメンみたいにはせず、おや煮干しの味がするな、くらいの塩梅にしておくのが食べ飽きないです。職場で振る舞ったら「全然期待してなかったけど想像以上に美味かった」と好評を頂けました。これからも日々精進です。

買ってよかった。(パスタマシンを)

コーヒー豆 (Lucent Coffee)

気付けばすっかり浅煎り派です。外食しない代わりに出かけていった先々に好みのコーヒー屋がないかと調べてはテイクアウトで頂いたり豆を買って帰ったりしています。色々のコーヒー屋には色々の良さがあり、一概にどれがということはないのだけれども、ラテの美味しさで言うと浅草〜蔵前エリアに数あるコーヒー屋の中でもこちら Lucent Coffee さんが一番だと思っています。

これまでに飲んだ数々のラテと比べてもあまりにも美味しいので「なんでこんなにラテ美味しいんですか?」とすごく頭の悪い質問をしてしまったんですが、少々困りながらもラテ用に焙煎を工夫している旨を教えていただけました。お店の雰囲気も大変よろしいし、天気がいい日はテイクアウトして蔵前〜かっぱ橋〜浅草〜隅田川と近所を散歩するのもよろしい。本当におすすめです。

お店で焙煎しているコーヒー豆もとても美味しいです。オンラインショップでも買えるそうなのでぜひお試しください。

買ってよかったのでまた買います。

たまに住んでいるエリアから遠出すると、都心の便利さと家賃の高さに今なお頭がクラクラします。普通は利便性を妥協して家賃が安いエリアに移るか、ガンガン稼いで都心に住むかの二択なんだと思いますが、魂が怠惰なので「便利エリアなのに安い」というバグ物件を日々探しています。

洗濯乾燥機 (Sharp)

昨年の買ってよかったものリストにIKEAの物干しラックを挙げた。昨年のテキストに曰く「物干しラックがあることでハンガーに洗濯物を干すという日常の非効率さに気付くことができた」と。そこからさらに進んで、洗濯物を干すということ自体の非効率さに気付くまで、そう時間はかからなかった。

ある夜のこと。洗濯機を回したまま干さずに寝落ちしてしまい、夜中の2時ごろにふと目が覚めて洗濯物を干し始めたことがあった。なんとなくTwitterを開いて「洗濯物を干している」と post した。しかしその時にふと気がついた。おれは一体何をしているのだろうかと。そうして翌朝、洗濯乾燥機について調べ始めたのでした。

一昔前は「家電として未完成」などと言われていましたが、各メーカーの努力もあり色々と進歩しているようで、今では新・三種の神器なんて言われております洗濯乾燥機。デザインと値段を検討した結果、Sharpの子がうちにやって来ました。相変わらずプラズマクラスターなるステキ機能がついてるんですね。そういうのはオプションにしてくれませんかね。

洗濯から乾燥まで寝ている間にやってくれるだけでなく、ヒーターでがっつり内部が熱されるおかげで洗濯槽が常に殺菌され、浴室の匂いが変わりました。特に夏場はカビに困っていたのだけど、ソースが1つ減ったのは大変によいことです。

今年の買ってよかったものオブジイヤー。

Apple TV 4K (Apple)

Netflix, Amazon Prime, Disney+ と動画ストリーミングサービスに課金しっぱなしで、観たいと思うコンテンツには事欠かないのに、なんだかんだいつも結局 DAZN でサッカーを観ています。LG の OS にも App が内蔵されていて Netflix も DAZN も観られるんですが Siri Remote (リモコン)の圧倒的な操作性のよさ、iOS 端末から操作できること、AirPods をシームレスに繋げること、などなど Apple TV をわざわざ買う価値は間違いなくある。

少し前のアップデートで Apple TV から AirMac に繋いだ Bose のスピーカーに AirPlay に飛ばせなくなったのが結構ストレスで、こういう形で強制されて HomePod を買うのはなんか嫌だなあと思っています。あとリモコンがしょっちゅうなくなるので Find My で音が鳴るようになってほしい。

買ってよかった。

羽毛布団 (無印良品)

[](https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344258385)

一般的に、人生において買う頻度が少ないものほど、自分の経験も人の意見も、購入の際の役には立たないものです。一般的に人が人生で羽毛布団を購入する頻度はどれほどなのでしょうか。

L.L.Beanの死ぬほど暖かそうな羽毛布団を検討していたんですが、いつの間にか日本での購入不可、北米サイトで買っても配送不可になっていました。グース取り扱いの条約か何かが変わったんでしょうかね。「米国北部の冬の寒い日でもヒーターなしで寝れる」という口コミがすごく魅力的だったのですが。

羽毛布団の値段は青天井で、高いものは数十万円、モノによっては百万円以上するんですが、そしてそれらはきっと間違いなくいいものに違いはないんですが、でも、この先そう買い換えることもなく、従って他のものと比べる機会もなく、そして被せる対象は自分であり、自分に被せる布団の価値とは、果たして己の価値とは、人生とは、と考えはじめてしまうのでもうだめです。そしてそういう時に助けてくれるのはいつだって無印良品です。

どうでもいいものを無印良品で買うと高いなと思うけど、他では高いなと思うものを無印良品で買うとこれでいいんだよなとなります。そういうところがよいのだと思いながら、すごく無印良品テイストな見た目になったベッドにもぐって寝るわけです。

買ってよかった。

Ulysses | Writing App (Ulysses)

長いことクラウドメモとして Evernote を愛用していましたが、使うのをやめてしまいました。発端はエディタのショートカットのバグだったのですが、これをきっかけに作業環境を見直すことに。主に Evernote は以下の用途で使っていました:

  1. 日々のスケジュールとtodoの管理
  2. ブログや論文の執筆
  3. ウェブ上の情報をコピーする WebClip
  4. 紙媒体の情報のスキャン

これら全てを担い、かつ複数のMacとiPadとiPhoneからスムーズにアクセスできるのがかつては Evernote しかなかったわけです。Dropboxも最近は全部できそうだけど。しかし Evernote はとにかくエディタが壊滅的に使いにくい上にどんどん改悪されていくのです。これは Evernote でテキストを書くなという Evernote 社員からのメッセージに違いないと確信したのでした。

色々のappを試した結果、今では以下のようになっています:

  • 日々のスケジュール, todo, 個人的なメモなど: Notion
  • ブログや論文のアウトライン、ドラフト、本文執筆: Ulysses
  • 公開して問題ない作業記録や技術メモなど: Scrapbox
  • WebClip と紙媒体のスキャン: Evernote

その中でも一番気に入ったのがテキストライティングアプリとして有名な Ulysses なのでした。

発表当時から気になっていたんですが、どれくらいの頻度で使うかわからないのに $99 の買い切りというのがネックで導入を見送っていました。それが今やサブスクリプションモデルになり年額$49です。最近はもっぱら技術文書や論文、ブログ、書籍や雑誌の記事など書物に費やす時間が増えているので、噂通りの生産性の高さならとお試しで導入したところ、大変よろしい。Markdownで書けるエディタというのは通常はエディタ部分と書式がレンダリングされたプレビューに分割されるのですが、Ulysses は markup theme を当てることで、エディタとビューワーを両立することに成功しています。iCloudでデバイス間共有がラクだとか、モバイルからでも結構快適に編集できるとか、他にもいろいろと嬉しい機能はあるんですが、一番はやはりシンプルに、書きたいように書けること。本当に捗ります。

本当に買ってよかった。

それではまた来年。みなさまよいお年をお迎えください。

今年買ってよかったもの2020

まあとんでもねえ一年でしたね。来年もこんな感じなんでしょうかね。

COVID19とそれに伴う諸々により、在宅勤務になって通勤という概念が消滅し、国内外への出張も消滅してオンライン会議になり、友人たちと気軽に飲みに行けなくなり、ホームパーティもできなくなりました。その代わりに家で過ごす時間が増えたので、家でやれる楽しいことをとことん追求した一年でもありました。

毎年色々なひとの「今年買ってよかったもの」を読ませてもらって楽しんでいるので、今年はCOVID19戦時中の生活を記録する意味も込めて、自分でも書いてみることにしました。Amazonのアフィリエイトがところどころ埋めてありますが、ビール一杯分以上の収入があった場合には近所の基幹病院に寄付しますので、遠慮なく買ってくださいね。

目次

リストアップしたらすごい数になったので衣食住にカテゴリ分けしてみた。こういう分類作業をするときにやたら悩んでしまうのは職業病だなあと思う。

      • +Jのカットソー
      • FALKEの靴下
      • ビアキチのTシャツ
    • 雑貨
      • Gonexの折りたたみボストンバッグ
      • 藤高タオルのバスタオル
    • 備品
      • 合羽橋の飯田屋がお勧めする揚げ物セット一式
        • 揚げ鍋
        • 温度計
        • 油ポット
        • バット
        • カス揚げ
      • パール金属のグリルパン
      • Cuisinartの業務用フードプロセッサー
      • KitchenAidのスタンドミキサー
      • Atlasの製麺機
      • タニタのキッチンタイマー
    • 消耗品
      • 富澤商店の小麦粉
      • マヤバザールのスパイスと豆
      • Antenna Americaのクラフトビール
    • 家具
      • IKEAの物干し
      • IKEAのスタンディングデスク
    • ガジェット
      • AppleのAirPods Pro
      • Switchbotの温湿度計
      • カクダイのシャワーヘッド
      • iRobotのBraava
    • コンテンツ
      • 機動警察パトレイバー
      • チェンソーマン
      • Naturally Tan
      • Ultras
      • DIEGO MARADONA
      • Calendario SSC Napoli 2020

家にいる時間が増えると適当なだらしない格好ばかりする駄目な中年になってしまうのではと心配していたがそうでもなかった。ずっと家にいるからこそ好きな服を着ないとテンションが下がるという事実は意外な発見であった。

+Jのカットソー

いきなりこれかよ。悪い意味でも話題になってしまった+J、ウェブストアで運良くいくつかを手に入れることができたのだが、その中で一番気に入ったのがこちら。安いジルサンダーと思って見ると大したことはないかもしれないが、デザインの優れたユニクロ製品だと思えばこんなにいいものはない。と思う。どの媒体だったか失念してしまって探しても見つからないのだが、ジル・サンダー本人のインタビューで、ユニクロと組んだ理由を「AppleがiPhoneで成し遂げた『優れたデザインを大衆に届ける』ということをファッションでも実現したかった」と言っていたのが本当によかった。じゃあもっと大量に作ってくれよという気もするのだが。いくらブランド戦略とはいえ、普通に試着して普通に買わせてほしい。

しかしユニクロは定番ラインも年々綺麗になっているので本当にすごい。ファストファッションはそれ自体がファッションの価値を下げてしまっているのでそのうち自家中毒で死ぬのだろうけど、ユニクロは生き残りそうだなと思う。

+Jのほとんどの商品はユニクロ店舗の棚からメルカリのサムネイルに瞬間移動してしまったが、ウェブストアでは一部の商品が今も時々在庫が復活している模様。

FALKEの靴下

たとえ家から出る用事が王将のテイクアウト(天津炒飯、京風たれ)を取りに行くだけだったとしても、朝こいつを履くとテンションが上がる。前々から愛用しているのだけれど「良い肌着は沢山買え」という教えに従って一週間分揃えてみたらすこぶる調子がよい。おすすめはもこもこの Walkie Light とスポーティな Run です。

ビアキチのTシャツ

界隈では知られた福岡のイカしたビアパブ、ビアキチのグッズ。COVID19のせいで大変そうだが福岡に行けないのでちまちまグッズを買っている。このイカしたTシャツも夏の間ずっと着ていたのだが、いかんせん人に会わないので話のネタにもならなかった。使い勝手のいいLINEスタンプも売っているのでそれも買ったけど、LINEを普段あまり使わないのでそちらも持て余している。

Gonexの折りたたみボストンバッグ

旅に出るときは身軽でいたいので、荷物はバックパック1つしか持っていかないという信念がある。信念は絶対に曲げたくないが、しかしお土産は大量に買って帰りたいというワガママクソ野郎でもある。そこでこちらを買ってみたところ、往路は折りたたんでバッグに入れておき、復路では広げてお土産でパンパンにして帰るという体験ができて本当によかった。厳密には買ったのは昨年末で、案の定というか今年は全く出番がなかった。ではなぜここで紹介するのかといえば出番がなくても家に置いておくのに全く場所を取らないからである。場所を取らないものはいくらもっておいてもよいのだ。

藤高タオルのバスタオル

いただきものであり買ったものではないのだが、デカくてフワフワのバスタオルが家にあるというのは本当に人生を豊かにしてくれるので紹介させてほしい。めちゃくちゃよかったので両親にもプレゼントした。自分がもらったものよりもランクが一つ下のものを送ったのは、将来プレゼント選びに困ったときに「あのときにあげたやつのさらにいいやつだぞ」と言ってもう一度プレゼントするためであり、他意はない。

今治タオルブランドと言えば外国人実習生を劣悪な環境でこき使っているという報道で大炎上したのが記憶に新しいが、組合傘下の企業ではそのような実態はないということだそうだ。とはいえ下請け、さらにその下請けでは…というのはどこにでもある話で、新疆の件も然り、環境に配慮するよりも前に労働者に配慮しろと思わずにはいられない。誰だってフワフワの気持ちのいいタオルを被っているときに工場で辛い目に遭っている労働者のことを考えたくはないのだ。高い品質を謳うのなら、労働者を薄給でこき使うよりも価格を高くして利益を出してほしい。ということでみなさんも高級タオルを買ったりプレゼントしたりしましょう。

元々自炊に凝る方ではあったものの、自宅にこもって他にすることがなくなった結果、あれもやってみようこれもやってみようと収集がつかなくなっている。その様子を見た人々からは「一体どこへ向かっているのだ」と言われる。愚問である。行く先がわからないからこそ料理は面白いのだ。

合羽橋の飯田屋がお勧めする揚げ物セット一式

「自宅で揚げ物はしたくない」と主張するための理由はいくらでもある。キッチンが汚れる。後片付けが面倒。油の処理が面倒。危ない。温度管理が大変。などなど。それらは道具を揃えれば解決する。そう、料理における大抵の問題は道具を揃えれば解決するのだ。合羽橋の有名な道具屋である飯田屋の兄ちゃんの記事を読めばそれがわかる。我が家で導入しているアイテムは以下である。

  • 揚げ物用の鍋
    • 鉄製を買って使っており何ら不満はないが、神田の天丼屋で使っているような銅の鍋が欲しい。カッコいいので。
  • 温度計
    • 鍋に引っ掛けておける温度計は絶対に必要。度々測るのは効率が悪いし、キッチンで効率が悪いということは死を意味する。
  • 油ポット
    • 揚げ油って毎度固めてテンプルで捨てるもんだと思ってました。
  • バット
    • シルバーのバットが家にあると俄然テンションが上がる。揚げ物だけでなく色々使える。
    • 揚げ方が下手でもバットに載せて油を切っておくだけで揚げ物は美味くなる。インターネットの情報はフェイクばかりですがこれは真実です。
  • かす揚げ
    • 揚げたあとの油の汚れを掬っておくためのもの。天かすを掬うのは結構楽しい。

どれもAmazonで買えるのだが、キッチンの小物は絶対に物理店舗で買ったほうがいい。行けるものなら合羽橋の道具街に行ってほしい。調理器具は人生においてそう何度も買ったりするものではないので、数少ない購入のチャンスをネットで済ませるのは本当に勿体ない。合羽橋に行け。クソ楽しいので合羽橋に行け。

さて揚げ鍋で何を作っているかといえばナポリのソウルフードであるところのピッツァフリッタである。自作リコッタチーズは簡単だったが、自作モルタデッラはまだ躊躇している。

「ナポリを見て死ね」という有名なフレーズがあるが、これは「人はみないつか死ぬがどうせならナポリに行ってピッツァフリッタを食ってから死ね」という意味である。

パール金属のグリルパン

これ、なにかと云えば家でナポリピッツァを焼くためのものである。もちろん他の用途でも使えるがナポリピッツァを自宅で焼けるという器具にそれ以上の役割を求めるのは野暮である。ピッツァはナポリの職人が手仕事で作ったドーム型の窯でしか焼けない、家庭用のオーブンで焼くなど不可能であると思い込んでいたので、このレシピを見たときには目から鱗であった。家庭の魚焼きグリルからマジモンのナポリピッツァが出てくる光景はかなりシュールなので是非試してみてほしい。

Cuisinartのフードプロセッサー

長年使っていたコンパクトなモデルをハードに使って壊れてしまい、後継を求めたところクソデカいコイツがやってきた。店ならともかく家庭ではそれほど使用頻度は高くないし、業務用と同じサイズのこいつはいかにも過剰だし邪魔なのではと思っていたところ、実際邪魔である。邪魔ではあるが、とにかくパワフルである。みじん切り、スライス、千切り、あらゆる作業が一瞬で終わる。Napolissimiさんで紹介されているナポリの伝統料理であるところのジェノベーゼのように大量のスライス玉ねぎを使うレシピもこいつがあれば楽勝である。パワフルすぎてこいつで材料を切っている時間よりも使い終わったあとに洗っている時間の方が圧倒的に長い。

KitchenAidのスタンドミキサー

今年買ってよかったものリストの中で最も異彩を放っているのがコイツではなかろうか。ロックダウン中にパン作りに目覚め、毎週のようにフィンランドのシナモンロールを焼いていた2020年の夏、パンを手で捏ねるには日本の夏は暑すぎると悟った。その結果がこれ。

色々と調べた結果、パンを捏ねるにはコンパクトでカァイイやつではてんでだめで、最もパワフルなプロ仕様でないとだめだということであった。そこでこいつを購入した。でかい。重い。うるさい。おまけに高い。日本のご家庭で好かれる要素が一切ないが、そもそも日本のご家庭ではそんなにパンを捏ねないのである。そして日本のご家庭でパン捏ねを自動化したいという奴はそんな些細なことは気にしないのである。

混ぜることしか能がないでかいマシンである。だがそれがいい。ボストンバッグのところで書いたことと真逆のことを言っているが、それでいいのだ。スイッチを入れるとグルグル回る機械は正義なのだ。

Atlasのパスタマシン

クイジナートのクソデカフードプロセッサー、キッチンエイドのクソデカスタンドミキサーを買ったあとではパスタマシンも「オッ、ちっこくてカァイイな」という感想になる。人間は比較することでしか物事を評価できないのだ。スイッチはないがハンドルをグルグル回すと製麺できるマシンである。グルグル回すと麺が出てくる。最高に楽しい。パスタだけでなくうどんやラーメンも作れる。というかもっぱらうどん、時々ラーメンである。パスタは乾燥パスタの方が美味しいですからね。

趣味の製麺の伝道師である玉置先生の記事を参考にいつもハンドルをグルグル回している。

タニタのキッチンタイマー

でかくてグルグル回るものしか紹介しないのも馬鹿みたいなのでこちらを紹介したい。キッチンタイマーは最低限の機能があればよいし、実際こいつは最低限の機能しかないのだが、薄くて見た目がカァイイ。こんなに沢山のデカくて重いグルグルマシン共をキッチンに並べておいてなんなのだが、カァイイ道具があるとテンションが上がる。そしてテンションを上げることこそが料理の本質なのだ。

富澤商店の小麦粉

ロックダウン直後は注文が殺到したらしく全然届かなかったが、そんなことはお見通しでロックダウン直前に5kg単位で買っていたので我が家は製パン製麺天国であった。レシピから材料が買えるレシピとストアが連動しているウェブサイトが素晴らしいなと思うのだが、ウェブサイトが重いのがちょっと残念。なんかすごい遅いクエリが後ろで走ってそうな気がするが、まあ製パンは大抵数時間くらいかかるのでサイトのレスポンスが少々遅いくらいは気にならない(そんなことはない)。

ナポリピッツァの要であるところのカプートの小麦粉まで売っている。凄い。

マヤバザールのスパイスと豆

ご多分に漏れず我が家でも稲田先生の教えに従ってカレーを作っているのだが、スパイス類をまとめてネットで買えるので便利。注文をミスってバスマティライスと豆類を各種1kgずつ頼んでしまったのでキッチンの一角が今なお大変なことになっている。

エリックサウスのモダンインディアンコース、大変美味しゅうございました。

Antenna Americaのクラフトビール

泣く子も黙るアンテナアメリカ。ロックダウン直前に品川のバーに飲みに行ったら、店舗の客は激減したものの通販需要が激増して箱詰めばかりしているとのことであった。今年の個人的ヒットは Lone Pine Brewery 。メイン州、行ってみたいけど合衆国に行ける日は一体いつになるのだろうか。

東京は家賃相場が高いのがネックだが、今年はずっと家とその近所で過ごしているために相対的に家賃の費用対効果が上がっており、今まで払ってきたクソ高い家賃はこのときのための前払いだったのだと自分に言い聞かせている。

IKEA MULIG (物干しラック)

我が家にあるものはほぼ全てIKEAで買っているのでIKEAであることに大した意味はない。しかしこのタイプの物干しを買って気付いたことは、洗濯物を干すために上腕を肩より上に持ち上げることをこれまでずっと強いられていたのだということである。洗濯機から出した洗濯物をハンガーにかけて物干しにかけるときの動きと、洗濯機からカゴに移してこの物干しにぶら下げるときでは使うエネルギーが段違いである。在宅勤務のおかげで家事について考える時間が増え、その結果として今までの非効率さに気付くことができるという例であった。洗濯物を干そうというアフォーダンスを発揮してくれるという意味でも、これはとてもよい買い物だった。

IKEA KNOTTEN (スタンディングデスク)

首都の小さな賃貸物件には仕事用の部屋など存在しないので、昇降デスクを買ってでかいディスプレイを据えてクールな自宅仕事環境の写真を撮ってSNSにアップしてマウントを取ることができないのを本当に残念に思っている。そんなあなたにこちらのスタンディングデスク、せいぜいラップトップを置いて立って作業するくらいなのだが、専有面積の割にはちゃんと仕事場感を出してくれるので、メンタルの切り替えに貢献してくれている。そんな気がする。

AppleのAirPods Pro

スティーブが死んだあとのAppleはどうなるのだろうと思っていたらイヤフォン屋になってしまった。それ自体は嘆かわしいのだが、イヤフォンはちゃんとしているのがすごい。ワイヤレスイヤフォンに人類が望んでいたのは音質でも軽さでもバッテリの持ちでもなく、デバイスとの接続のスムーズさだったのだなということを気付かせてくれる逸品。

Switchbotの温湿度計

データなくして決断なし、継続的なモニタリングなくしてデータなしということで、室内の温湿度を計測、記録するためのデバイス。このお値段でこれだけちゃんと動いてくれるなら立派でしょう。ハブとか色々あるが単品で買ってモバイルの専用アプリでログを取るだけでも十分使えている。家の中にサーバを立ててBluetoothで自動でデータを取ってきて可視化したりということもできるそうなので、この冬の楽しみにとってあります。

カクダイのシャワーヘッド

据え付けのシャワーヘッドがやたらと水圧が強いのと黒ずみが気になっており、いい機会なので換えてみた。シャワーヘッドってめちゃくちゃ種類あるし価格帯も広いんですね。カートリッジで浄水できることと、手元のボタンで一時止水ができることを基準に選んだら選択肢があまりなかったのでこれにしましたが満足しています。

とはいえシャワーヘッドっていくつも買って比較なんてできないし、そもそも評価は個人の感覚に依存するし、交換前と比較して良くなっているのでまあいいかという感じになってしまいがち。世の中にはもっといいシャワーヘッドがあるのかもしれないが、それを知ることは永遠にないのだ。

iRobotのBraava jet

動物愛護にも配慮され誰でも合法的に飼えるペット。カァイイ。掃除もしてくれる。

機動警察パトレイバー

諸事情により全巻Kindleで買って一気読みしてしまった。テーマの深さとその鮮やかな描き方、30年前の漫画とは思えない未だ色褪せぬ傑作です。アニメで躍動するイングラムに興奮していた子供の頃とは違い、任せるが放置はしない後藤隊長の懐の深さにしみじみ感動してしまうあたりに自らの老いを感じる。

チェンソーマン

今年も色々漫画を読んだけど、一個挙げるならこれ。これが週刊少年ジャンプに載るってすごくないですか。地獄に行くあたりをアリ・アスターに実写で撮って欲しいけど、もし実現しても絶対観たくない。

Naturally Tan (邦題: 僕は僕のままで)

タンの自伝。やっぱりアントニが一番モテるんだなという事実が確認できる。必読。

Ultras

Watch on Netflix

もはや買ったものでもなくNetflixの番組なのだが推しておく。ナポリのウルトラス(サッカーの試合でゴール裏にいるやんちゃな人たちのこと)のメンバーが、ウルトラスとしての生き方と自分自身の人生とに悩む話。ただただしんどい現実を突きつけられるだけで全然ハッピーな話ではない。ナポリのティフォージ(サポーター)の人以外には全くお勧めしないけど、ナポリのティフォージだからと言って観たらスカッとするかというとそんなこともまったくない。

DIEGO MARADONA

Ultras書いてて思い出したけどこれも紹介しておかねばなるまい。公開は昨年で観たのも昨年だが、日本での公開は今年だったはず。まさかディエゴが死んでしまうなんて未だに信じられないが、この映画は広く知られているサッカーの天才マラドーナではなく、アルゼンチンに生まれナポリで愛されたディエゴの姿が当時の映像で語られていてとてもよかった。

Calendario SSC Napoli 2020

これは「今年買ってよかったもの」なのだろうか。SSCナポリというイタリアのサッカーチームが毎年企画して売っている、本体価格は€8なのに日本までの送料で€30取られるという悪夢のようなカレンダー。心なしかその月にフィーチャーされている選手が負傷したり活躍できずファンに罵倒されたり移籍したりと不幸な目に遭っていたような気がする。少し前は所属選手や監督にコスプレさせて愉快なカレンダーに仕上げていたが、今年に引き続き2021年版も真面目路線だそうで、ちょっと惜しい気がする。